奥さんへの給料を支払う時の注意点

法人税法上では、社長と奥さんに対する給料設定に様々な制約があります。奥さんが役員のケースであればなおさらです。

●社長の妻は「みなし役員」になることが多い
法人税法上の「役員」の基準は、登記簿に記載されている役員(商法上の役員)以外にも社長の親族で経営に影響力を持った人が含まれるという規定があります。これを「みなし役員」といいます。
中小企業の社長の奥さんの場合、給料をもらっていて、かつ会社経営に口を出せるのであれば、取締役、監査役でなくても「みなし役員」と判断されると思ってよいでしょう。

●「役員・みなし役員」への賞与や報酬は経費にならない
役員、みなし役員に対する給料を経費にするには、いくつかの制約が設けられています。先ず定款や株主総会の決議で決められた限度額を超えた部分は経費にはできません。
また役員に対して臨時的に支給される「役員賞与」は従業員の賞与と違って、事前届出をしていない限り経費にできません。
さらに毎月支払う役員報酬も、その役員の業務の内容、会社の収益状況、同業種・同規模の他社の水準から見て、妥当とされる金額を超える場合、その超過分は「過大役員報酬」として経費にできないことになります。
奥さんが役員ではなく、単なる従業員として経営には全く参加していない場合でも注意が必要です。
役員の親族や役員と生計を共にしている者、事実上婚姻関係と同様な関係にある者(これらを「特殊関係使用人」という)
は、妥当とされる金額を超える部分は経費にはなりません。

●奥さんを役員にして、相応の業務をすることが大切
社長の奥さんの場合、給料の支給額は実際にはいかようにも調整することができます。社長と奥さんの給料の差をなるべく引き上げた方がいいでしょう。
そのためには、先ず奥さんを役員にすることが望ましいといえます。様々な制約があるものの役員としての責任があるため、一般の社員よりも支給額を多めにすることが可能です。
また奥さんが毎日出勤しないようなケースや、自宅で会社の仕事をするケースなどは、実際どんな業務を行っているのか
、将来の税務調査で説明できるようにしておきましょう。

【参考】
「会社の税金」「社長の税金」まだまだあなたは払いすぎ!
落合孝裕(2007)フォレスト出版