企業存続のために最も大切な利益の考え方

「企業は存続しなければならない。そして、そのためには何をすべきか?」
2019年の年頭にあたって、経営学者P.F.ドラッカーが企業存続のための絶対条件としてあげている「利益」について考えて見ましょう。

事業経営においては、目標とする売上を獲得すると同時にしっかりと利益を確保することが重要です。
しかしドラッカーは「利益は幻想、存在するのはコストだけだ」と述べています。
それは何故なのでしょうか?
①利益=キャッシュではない
私たちは企業の決算書(損益計算書)に表示されている「利益」をみて「儲かった」と思いがちですが、この「利益」は計算上、売上(収益)から費用を差し引いた金額がプラスであるという意味で「キャッシュ(=現金)」が増えているという意味ではありません。
例えば売上も費用も全て現金で取引されれば、利益とキャッシュ・フロー(現金の収入・支出)は一致するのですが、実際の取引では売上や仕入れが掛けで取引されることが多いため、利益とキャッシュ・フローが一致するとは限りません。売上時点で利益が出ているように計算されても、実際に現金が預金口座に貯まっていません。
利益に関係なく、会社の血液ともいえる現金が不足すれば会社は破綻することになります。
※現金の他、普通預金・当座預金・現金同等物も含まれます。

②会社はコストの塊
ドラッカーは「およそ企業の内部には、プロフィットセンターはない。内部にあるのはコストセンターである。技術、販売、生産、経理のいずれも、活動があってコストを発生させることだけは確実である。しかし成果に貢献するかはわからない」(P.F.ドラッカー『想像する経営者』より)と企業活動の本質をついています。
利益は企業の外部からしか獲得することはできません。営業活動を通じてお客様から商品を注文いただき、その代金が回収できたときにはじめて利益を獲得したことになるのです。それまでは、単にコストを消費しているにすぎません。
従って社員が意識して利益を生み出す活動に力を注がなければ、社員はただ忙しいだけでその活動に要したコストは、利益として回収されないことになってしまいがちです。