月次決算を早期化し精度の向上をはかる

正しい経営判断に必要なことは、月次決算の早期化と制度の向上です。これは共通語としての月次決算データの信頼性も高めます。
月次決算の基本は、日々の記帳と現金管理、証憑書類の整理保存、そして発生主義による売上、仕入れの計上です。先ずは基本を面倒くさがらず、後でまとめてやろうなどと考えず日々きちんと行うことが大事です。

(1)売上・仕入を早期に掴む仕組みをつくる
月次決算の早期化には、毎月の売上と仕入の金額を早く確定させる仕組みが必要です。これには営業、購買、経営部門等他部署の協力が必要です。
●早期化のための仕組みづくり
・取引先に請求書の早期発行を依頼する
・納品書ベースで売上、仕入を計上する
・販売・勾配システムの導入を検討する
・月次の数値が早く見たいという経営者が意思表示をする

(2)必要に応じて月割計上する
月次決算の12ヶ月分の累積が、期末の決算数値になります。ところが期末の決算数値と、毎月業績確認をしてきた結果とが大きくなっていては困ります。
業種にもよりますが、月次の損益や経営者の経営判断に影響するような金額の大きいものや重要性の高いものについては、月割や概算額を計上して発生額を標準化し、損益への影響を回避することができます。
①減価償却費・賞与見積額の計上
減価償却費は期末に一括計上するものですが、年間見積額を月割計上すれば月次の業績に反映させることができます。
賞与は年間の見積額を月割計上すれば、賞与支給月に費用負担が集中することを避けることができます。
②在庫の計上
実地たな卸を毎月行って月末の在庫を計上すれば、毎月の売上原価と粗利益を掴むことができます。しかし毎月の実地たな卸は容易でないため、金額の大きい商品に絞る予定減化率によって概算計上する等の方法によります。
③年払いの経費の月割計上
労働保険料や固定資産税、損益保険料等年払いや特定月にまとめて支払う経費のうち、月次の損益に大きく影響する項目については月割で計上します。

ただし月次決算の早期化や精度向上に捉われすぎて、経理業務を煩雑化しては意味がありません。当事務所と相談し、自社に合った経理処理を検討しましょう。