経営者について

経営者は自社の事を全て把握していますが、一般的に後継者がその段階に至っていることはありません。事業承継に向けて会社の経営状況の見える化を図るために、経営者と後継者が一緒にチェックします。

事業用資産を円滑に承継させるために、今経営者に万が一のことがあったらどうなるかという視点で、相続シミュレーションを行います。特に自社株式の評価や個人保証などの状況を確認します。
▼自社株式の所有株数と評価
先ず経営者自身の所有数と評価です。実際に自社株式を評価して見ると意外に高いという感想を持つ方が多いようです。評価が高いということは良い会社である証拠ですが、贈与税や相続税の負担を考えると喜んでばかりはいられません。
一度評価を行った会社でも、税制改正や株価変動の影響を知るために、決算毎に毎年評価を行うことをお勧めします。
▼不動産等の評価や抵当権設定に状況
不動産の評価はじかで行い、含み損益を把握します。個人の土地に会社が社屋や工場を建てている場合、借地権の存在の有無を明確にするため、土地の無償返還に関する届出書の提出等を確認しましょう。また会社や個人で借入金がある場合、不動産に抵当権等が設定されているか否かを改めて登記事項証明書でチェックする必要があります。
▼その他の資産
中小企業の場合、経営者による会社への貸付金が多く見受けられます。経営者が亡くなるとこれは相続財産となるため確認は必須です。またゴルフ会員権や有価証券等は時価を把握し、処分等の可能性を検討しましょう。
▼借入金等の負債額と返済予定、個人保証
借入金等の負債は、相続時に初めて発覚する事もあるので事前に確認しておきましょう。相続税対策としてアパート等に借入にて建築している場合には、借入残高や月々の返済額等を把握しておく必要があります。また事業承継において個人保証は後継者にとって大きな負担となるので、経営者保証に関するガイドラインに基づき経営者保証の解除ができる可能性を探りましょう。
▼後継者の決定
厳しい経営環境を乗り切っていくため後継者には高い経営能力と精神力が求められます。そこで後継者の適性や課題を把握します。
兄弟等が会社にいて、後継者は誰になるのだろと後継者候補らが長年心配していた会社がありました。経営者も決めかねていたようですが、早めに方向性を決めることが大切です。
このように、経営者が明確に後継者に承継させる意思を伝えていない場合、改めて場を作ることも必要かも知れません。

この現状分析をすることで、課題に気づき、経営者と後継者の認識が共有され理解が深まります。