事業承継税制適用の要件を満たしていない場合の対処法②

事業承継税制では、先代経営者が「代表者であった時点」と「贈与直前」に同族関係者の中で筆頭株主でなければなりませんが、その条件を満たさない例も多く見受けられます。今回は「高齢者の母が筆頭株主だが代表者になったことがない」といった事業承継税制適用の要件を満たしていない場合の対処法等について、特例事業承継税制活用のポイントをご紹介します。

●贈与の場合の後継者の事前準備
特例後継者として贈与税の特例事業承継税制の適用を受けるためには、贈与を受ける時点において、20歳以上であり且つ役員に就任してから3年以上経過していなければなりません。
後継者がまだ役員になっていない場合は、役員就任を検討することが必要です。

●相続の場合の後継者の事前準備
①死亡の直前に役員であったこと
特例後継者は、特例代表者であった被相続人の死亡の直前において特例認定承継会社の役員である必要があります。ただし被相続人が60歳未満であった場合には、役員でなくとも構いません。
現経営者が60歳以上で、現経営者が万一死亡するようなことがあった場合に、相続税の特例事業承継税制の適用を受けようとするならば、少なくとも後継者が役員に就任しておく必要があります。ここでいう役員とは、通常取締役もしくは監査役です。

②5ヶ月以内に代表権を有すること
特例後継者は、先代経営者死亡の日の翌日から5ヶ月を経過する日までの間に代表権を有していなければなりません。
株式等の一括贈与を受け、贈与税の納税猶予の適用を受けていて先代系経営者が死亡した場合には、後継者が代表権を返上していない限り問題ではありません。
また減経営者が遺言書を作成し、特例後継者に株式を遺贈する旨を記載しておいてもいいでしょう。
これらの対応をしていない場合、複数の相続人がいて分割協議が5ヶ月以内にととのわなければ、後継者が代表権を保有することができないことも考えられます。しっかりとした事前対応が求められるところです。